第1話 ソフトウェアライセンス謎の事件 前編


「今日は待ちに待った、文化祭当日です。みなさん、今まで頑張ってきた成果を出して
たっくさんのお客さんを呼び込んでくださーい」

校内アナウンスで、生徒会の副会長の声が弾け飛ぶ。
ここ八坂高校の文化祭が始まったのだ。

そこに、ひときわ目立つ金色の髪をもつ青年がこの物語の主人公であるということは
言うまでもない真実である。

その横で元気よく背伸びをするJKがヒロインである。

「正史(せいし)、文化祭回ろうよ!」

JKのヒロインが金髪の青年に話かけた。

「その通りです」と、金髪の青年である正史はJKのヒロインに答えた。

「また始まった・・・」JKのヒロインは天を仰いで天井を見た。

JKのヒロ・・・の呆れた態度に構わず
「教室は中から鍵をかけられ密室。犯人は3階の隣の窓から侵入し窓から出て行った」
正史は教室の窓に近づいて話を続ける。

正史が話を続けている間に、何回もヒロインって書きすぎた元気なJKを紹介しよう。
彼女の名前は、「犬神 のりこ」

ちょっと古風な名前だが、なかなか清楚な日本美人である。
ただ、しゃべらなければ可憐なお嬢さんなのだが、元気過ぎるのがたまに傷なようだ。

「約束、忘れてないでしょうね?」
のりこは、いつまでも続く正史の演技を遮って聞いた。

「約束?」
正史はきょとんとして言葉を返した。

「言ったじゃないの、私が競技かるたで町内会で優勝したら、B組のライセンスランドに連れてってくれるって」と言いながら、右手を振りぬいた。

それを頭で受けながら、「お、覚えてまーす」となんとか返事を返したようだった。


2人は横のB組の教室の前まですぐに着いた。

「ほらほら、正史!ライセンスミステリーすいてるよ!」
B組の教室に並ぶ2人。

「誰か忘れたけど、名探偵の凄いところは、助手に初めて会った時さ、握手しただけで彼が何かしてたってのを見抜いたことなんだって!ほら、こんな風に」と言って
正史は前に並んでいるJKの手を握った。

「あなた、演劇部に入ってますね」と正史はいきなり真剣な顔でJKの手を握りながら言った。

「そりゃそうでしょ。あんたも演劇部なんだから」とJKは平然と言い放って
「あんた部活に顔出しなよ。ホームステイだからって甘えんじゃねーぞ」
と、言われ慌てて正史は手を離した。

「最初っから知ってたなんてインチキじゃん」
のりこは、呆れながら腰に手をあてて怒るのだった。


教室に入った2人は暗闇の中にたたずむ。
「ところで、何なんだ、ライセンスミステリーって?」正史は不満げにつぶやく。

突然、教室の電気がつき、ぱっと明るくなった。

「ようこそ!ライセンスランドへ。ライセンスミステリーとはいわゆる1つのアトラクションだ。ちなみに私の名前はクラウドだ」
青のベネチアンマスクをして全身を青のマントに身を包んだ1人の男が両手を広げて叫んだ。

その言葉に反応するかのように、正史も続けて叫ぶ。

「たった1つの解釈求む、見た目はハーフ、言語は日本、その名は名探偵ポーロ!」

主人公は、ポーロ 正史(せいし)という名前で、イタリア人と日本人のハーフである。


後編へ続く


ブログを書く情熱はパッションですが、この小説はフィクションです。
登場人物や団体名などとは一切関係ありません。

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