企業用のマイクロソフトボリュームライセンスはこんなに種類がある(その① EA・MPSA)
マイクロソフトのボリュームライセンスは種類があって複雑なため、どんな種類があるのかということを紹介していきます。
特に横文字ばかりなのでとっつきにくイメージはありますが
上手にボリュームライセンスを選択することで、少しでもお得に買えることが出来たらと思います。
まず、企業用のボリュームライセンスは現在(2022年8月現在)主に4つの種類がありますので、1つずつ概要を説明していきます。
契約の種類
1.EA(Enterprise Agreement)
2.MPSA(Microsoft Products & Service Agreement)
3.OPEN
4.CSP(Cloud Solution Provider)
1.EA(Enterprise Agreement)
500台または500名(ユーザー数)以上の企業が契約できるボリュームライセンスプログラムです。
3年間契約となりますので、3年間は購入価格が変動しないというメリットがあります。
ただし、500以上は3年間購入しなければならないため注意が必要です。
ボリュームディスカウント(いっぱい買えば単価が安くなる)も付いています。
契約レベルがありまして、レベルはA~Dまでの4段階となっています。
EA 契約レベル(数量は台数またはユーザー数)
レベルA:500~2,399
レベルB:2,400~5,999
レベルC:6,000~14,999
レベルD:15,000以上
レベルDが一番お安い価格となります。
海外展開されている企業は、同じ契約で購入すれば全世界(グローバル)で契約数を購入することが出来ますので、EAにて検討されるのも良いかと思います。
購入されるライセンスがかなり多い企業はEAが一番安く購入が出来るかと思います。
EAはマイクロソフトさんと交渉が出来るプログラムとも言われています。
契約ボリュームによりけりだと思いますが、マイクロソフトさんと交渉してみる価値はあるかと思います。
EAはさらに下記の3つのプログラムの中から選択することになるのですが、詳細がちょっと膨大な内容となりますので、別途記事を作り紹介したいと思います。
EAボリュームライセンスプログラム
① EA(Enterprise Agreement) :主にオンプレミス製品の契約をする場合
② ESA(Enterprise Subscription Agreement) :サブスクリプションの契約をする場合(現在は365など)
③ SCE (Server Cloud Enrollment) :Windows Server・SQL Server・Visual Studio・Azureを主体に契約する場合
2.MPSA(Microsoft Products & Service Agreement)
500台または500名(ユーザー数)以上の企業が契約できるボリュームライセンスプログラムです。
ただし、365などのオンライン製品と呼ばれるクラウドサービスの場合は250名以上が条件となります。
Select Plusという契約の後継プログラムでもあります。
(Select ⇒ Select Plus ⇒ MPSAとなります)
MPSAはボリュームディスカウントがありますが、価格は固定しないのでマイクロソフトさんが価格を改訂した場合、その影響を受ける契約となります。
契約レベルはEAと同じく、レベルA~Dまでの4段階となっています。
MPSAは購入する度にポイントが溜まっていき、ポイント数によってボリュームディスカウントのレベルが変化します。
MPSA ボリュームディスカウントレベル(数量はポイント数)
A:500~3,999
B:4,000~9,999
C:10,000~24,999
D:25,000以上
ポイントは購入するライセンス(製品)によって違います。
例えばですが、Office Standardの場合は1つあたり2ポイントと設定されているようです。
Dにしようと思うとOffice Standardを12,500ライセンス以上購入する必要があります。
ただ、MPSAもEAと同じく同じ契約を使えばポイントを溜めていくことが出来ます。
そのため、グローバル展開されている企業はMPSAを検討されるのもいいかと思います。
また、EAを契約されている場合、EAのレベルをMPSAに設定することも可能です。
その場合、MPSAでポイント数分購入しなくても初めからボリュームディスカウントを受けることが出来るかと思います。
(※現時点では、ロシア・中国・インドはMPSAを契約締結出来ません。旧プログラムでのSelect Plusであれば購入は可能ですが、ポイントはMPSAと一緒にすることが出来ません)
注意点としては、年間の購入数(ポイント数)にて価格レベルが決定するプログラムとなっていますので、定期的に購入されることが必要です。(必ずしも上記のポイント数を全て年間で購入する必要はありませんが、ちょっとややこしいのでMPSAだけの紹介ページをあらためて作ります)
EAもMPSAも同じライセンス(製品)を購入出来るのですが、何が違いかと言いますと「MPSAは保守が不要で購入ができる」という点です。
EAの場合、保守(ソフトウェアアシュアランス:SA)を必ず購入しなければならないことやライセンス(製品)によっては、全台数または全従業員数分を購入しなければならないことがありますが、MPSAは保守(SA)も選択可能ですし、ポイント数をクリアしていれば1ライセンスから購入が出来るというメリットがあります。
そのためEAとMPSAは同じライセンスが買えるのですが、契約は分かれております。
個人的には、ここがちょっと分かりにくいところです。
EAとMPSAは両方とも契約書の締結が必要です。
ボリュームライセンスをEAまたはMPSAで購入を検討されている企業は、早めに契約書を入手して自社の法務部門にチェック頂く方がスムーズに進むかと思います。
各販売店さんや契約される企業の法務さんのチェックにかかる時間にもよると思いますが、だいたい半年前から用意しておくと良いかと思います。
POINTまとめ(EA)
・3年契約
・契約には500以上の購入が必要
・ボリュームディスカウントと交渉にて一番お得に購入できるかも
・海外展開の企業は検討してみるべき
・購入予定の半年前までには契約書のチェックや価格の確認などを進めるとスムーズ
POINTまとめ(MPSA)
・年間500ポイントまたはオンライン製品を250ユーザー以上購入が必要
・ポイント数をクリアしていれば、保守(SA)無しで購入が可能
・EAを契約されている場合、MPSAに契約レベルを反映して初めからボリュームディスカウントを受けることが出来る
・海外展開の企業は検討してみるべき
本日はEAとMPSAの概要を書いてみました。
次回は、OPENとCSPの概要を載せたいと思います。